あんなにモテた人を、私は知らない
みるみると犬です。
ゲームでもリアルでも半端なくモテる人っています。
高校時代の友人で、ものすごくモテた子がいました。
そのモテ方は半端なく、同級生のみならず、先輩、後輩、はたまた先生からも(!)告白されるほど。
噂は他校にも広がり、帰り道に待ち伏せされて告白されるなんてザラ。
後にも先にもあんなにモテた子をワタクシは知りません。
そんなモテ女の 引き立て役のワタクシがYちゃんの家へ初めて家に遊びに行く事になった話。
Yちゃんの庭には放し飼いにされた老犬がいたのですが、玄関の門を開けると走ってくるやいなや、ワタクシの尻にズボっと顔をうずめてクンカクンカと匂いを嗅いできたのです。
ぎゃあああああ!
絶叫したワタクシを横目にYちゃんは
「あっ!ロンがケツを嗅いだ!みるみるちゃんのこと歓迎してるよ!」
と言ったのです。
っえ・・・・
何度も言いますが、彼女はアイドルも顔負けするほど可愛い女の子。そんなアイドルの口から「ケツ」という言葉が出るなんてビックリした。
ワタクシでさえお尻って言うのに・・・。
ロンにケツを嗅がれながら何とか居間に着くと、タバコを吸いながらくつろぐYちゃんのお母さんがいました。
Yちゃんのイメージとかけ離れたお母様にビックリしたのですがYちゃんが
「お母さん!ロンがみるみるちゃんのケツの匂い嗅いだんだよ!」
と目をキラキラ輝かせて言うと
「あら、みるちゃんはロンから認められたのね。ぷはあ」
と、口から煙を吐きながらケツを嗅がれた事を喜んでくれました。
Yちゃんの部屋でお喋りしていたら、今度はYちゃんのお姉ちゃんが入ってきました。
Yちゃんのお姉ちゃんはちょっとキャバ入ってて、これまたYちゃんのイメージとかけ離れていたわけですが、お姉さまはニコニコしながら
「ロンがアンタのケツを嗅いだんだって?おめでとう」
と、お姉さまもワタクシがケツを嗅がれたことを喜んでくださいました。
あとから知ったのですがYちゃんが異様にモテるため、変な人が近づいてくるのを防ぐ対策だったようです。ロンが認めた相手と交流すれば安心みたいな感覚でしょう。
ほとんどの友達はロンの審査に合格したらしいのですが、ただ一人。Yちゃんの彼氏だけ嗅がなかったらしく⋯⋯
「ロンが彼氏のケツだけ嗅いでくれなくてさ⋯⋯」
落ち込むYちゃんに私もなんて声をかけてよいか分からず
「そっ⋯⋯か。早く彼氏のケツ、嗅いでくれるといいね」
と、内容を知らない人が聞けばどういう会話だと思われる話をよくしていました。
後日、Yちゃんの彼氏が浮気していたと聞いたときは、ああ、ロンは分かっていたから彼氏のケツを匂わなかったんかな、と思いましたが、今となっては確認する術はありません。ロンはもう空の上にいるから。
高校時代のワタクシはロンに認めてもらえたけれど、いまロンに会ったらケツを嗅がれる自信はありません。むしろ噛まれるでしょう。
ゲームでもリアルでも相手がどんな人か知りたい、そんな時は犬にケツを嗅いでとお願いしましょう。以上、ファラザードの現場から恋愛相手を見極めるコツをお伝えしました。
動物は嘘つかない